どうも、投資に精を出してるたぬきちです。
Kindle月間セールで購入した「ビジネスモデルの教科書」を読んだので、その書評と要約まとめを。
ビジネスモデルの教科書―経営戦略を見る目と考える力を養うposted with amazlet at 15.06.28東洋経済新報社 (2014-04-11)
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本書はビジネスモデルを網羅的に載せており、その適用条件や落とし穴、そこから洞察できる今後のビジネスへの示唆を載せている素晴らしいまとめ本でした。
特に各ビジネスモデルのリーンキャンパスを載せており、自らビジネスモデルを構築する際に役立つ訓練をケーススタディのように行えます。
それでは、各ビジネスモデルの要約を以下に載せます。
顧客セグメント
- 地域ドミナント:特定地域に密集して店舗を出す(セブンイレブン)
- クリームスキミング:市場の大きい領域だけに集中する(LCC)
- 特定市場の支配:参入されにくい領域で圧倒的シェアをとる(YKK、信越化学)
- グローバル化:先手で新市場を取り優位性を築く
- 顧客ライフサイクルマネジメント:顧客の生涯の各段階に対してサービスを継続的に行っていく。一番始めを安く、だんだん高く
- 顧客の購買代理:顧客の立場に立って、顧客メリットがあるように供給業者から調達する
- プラットフォーム:ネットワーク外部性の働く「場」ビジネス
提供価値のビジネスモデル
- ソリューション:製品の提供だけでなく、顧客の問題を解決するために製品・コンサル等を行う問題解決に対価(IBM)
- 同質化:圧倒的シェアを持つ企業が差別化攻撃をされた場合に同様のサービスを提供し、圧倒的物量で攻撃を阻止する(ランチェスター戦略:兵力×武器。武器を同質にすれば量で勝てる)(コカコーラ)
- アンバンドリング:製品・サービスを分解して、一要素のみを売る(QBハウス)
- デファクトスタンダード:自社製品を事実上の業界標準とし、安定需要確保でコストとリスクを抑える(インテル、ファナック)
- ブルーオーシャン:従来の提供価値の組み合わせに修正を加え新たな市場を創出し、市場を独占(俺の、任天堂)
価格/収入構造のビジネスモデル
- レーザーブレード:導入製品を安価に売り、消耗品や保守サービスで継続的に利益を生み出す(Kindle、ジレット)
- フリー:一部の勝ち提供を無料として集客し、その周辺の有償取引によって利益を上げる(Dropbox, カルディ)
- 敵の収益源の破壊:敵が優位であり、自社のメイン収益源でない私情を破壊し、競合を弱体化(Yahoo、アップル、IBM)
ビジネスシステムのビジネスモデル
- チャネル関係性の利用:チャネルの持つ最終顧客との関係性を、自社製品の販売に活用(ヤクルト、インフォコム)
- ダイレクト:チャネルをスキップして最終顧客に直接販売し、値引きやカスタマイゼーションを提供(外資保険会社、アスクル)
- サプライチェーン種別の変更:競合や業界標準とは異なるサプライチェーン方式を採用し、リードタイムやカスタマイズ、価格の組み合わせで差別化(デル、グリコ)
- 機能外販:自社機能のつい他社よりも優れた機能を他の企業に外販し、その優位性を自社事業にフィードバック(大阪ガス、ベネッセ、Amazon)
- リソース先制:有限な経営資源を先に抱え込み、競合の参入を防ぐ、もしくは競合が劣った資源しか確保できないようにする(コカコーラ、シンガポール航空)
- マクドナルド化:提供価値をプロセス化あるいは機会化し、リソース単価を切り下げて低価格化することで下層の巨大私情を狙う(マクドナルド、てんや、ブックオフ、ガリバーインターナショナル)
- 提携先のレバレッジ:経営資源やノウハウがなく事業の開始時や競争に耐えられないときに、これらを持つ他社と提携する(グーグル、ワタミ、現代自動車)
- 強者連合:業界上位同士が技術相互供与や製品の共通化で提携し、業界他社に打撃を与え、競争優位を維持(日本生命保険、ローソン、味の素)
事業レベルのビジネスモデルのまとめ
ビジネスモデルが競争優位を生み出すメカニズム
- 顧客との特別な関係の構築を目指す
- 競合がいない空間、あるいは攻撃を受けない状況を作る
- 自社の業務活動・経営資源を他社と異なるものにする
競争優位の持続可能性の源泉
- 好循環
- 非対称性による模倣の防止(競合の過去のビジネスモデルの作り込み)
- 非対称性による模倣の防止(自社の先取り)
環境変化への対応
- 市場の特徴・歪みの利用
- 環境変化への対応
コーポレートレベルのビジネスモデル
- 資源再配分の加速:ライフサイクル後半の事業からライフサイクル前半の事業へ経営資源を移行することで価値創造を最大化&加速させる(Samsung、富士フィルム、ソニー)
- 同業との統合:同種の事業を営む他社を買収・合併し、事業規模とシェアを拡大させ、規模の経済によるメリットを享受する(イオン、JX日鉱日石エネルギー)
- 周辺産業との統合:顧客に対して同時に提供される製品やサービスを扱う周辺産業の事業を統合することで価値を作り出す(LIXIL、メディパルホールディングス)
- ブランド買収・再生:同種の複数ブランドを傘下におさめることで、単体では出せない規模の経済を獲得する(ケリング、リシュモン)
- 川下への進出:従来のビジネスの川下の企業を買収することで大きな売上と粗利を獲得する(コカ・コーラ、リコー)
- 川上統合によるブラックボックス化:ビジネスの川上にある部品や製造装置の事業を統合し、競合への供給を遮断することで優位を築く(YKK、ミネベア)
- 中立性・専属性のマネジメント:顧客に対する中立性や専属性を守るために統合できない2つ以上の事業を持株会社の傘下に置くことで収益の機会を増やす(WPP、野村ホールディングス)
- レバレッジドバイアウト:他社からの借り入れで企業を買収し、その企業の利益で借り入れを返済して価値を作り出す手法
ビジネスに関わる全ての人は一読をオススメします。
ほらあなより愛をこめて
たぬきち
ビジネスモデルの教科書―経営戦略を見る目と考える力を養うposted with amazlet at 15.06.28東洋経済新報社 (2014-04-11)
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