ジブリ最新作、「風立ちぬ」を見たので、その感想。
たぬきちの「風立ちぬ」感想をまとめると、以下のとおり。
1. 主人公が「真面目なイノベーター」でかっこいい。
失敗・挫折を重ねながら、幼い頃にみた「夢」を一貫して追求し、努力を重ね、夢の実現に近づいていく姿は、まさにイノベーションを起こす研究者・芸術家・起業家そのもの。
2. 献身的な愛と察する心という美しい日本的価値観。
後半の切ない愛のストーリーは、「仕事か愛する人か」という単純なものではなく、夢・仕事・愛する人・家族・関係する全ての人のことを、それぞれの登場人物が考え、所与の制約の中で「最善の結果」を追求することであったと思う。そこで、全てを懸けて夫に美しい姿だけ見せたい・夫に夢を実現してほしいというヒロインの純粋な思いと、その思いを知っているからこそ、本当は妻が一番であるが、仕事に没頭する主人公、そして彼らの選択を見守るという選択をした周りの人々。この「相手の思いを察して」、「無条件の献身的な愛を示す」行為が、日本固有の美しい価値観を表しているように感じる。
3. 非情な現実。これは理想ばかりのファンタジーではない。
いつものジブリはファンタジーであり、現実的な面が少ない。しかし本作品はあくまでも「現実」を意識させられる。このことが、本作品を「ダメな作品」と評する人々の根底にはあるのではないか。彼らは「理想」の「心地よい」世界を見たかったのに、アンハッピー?な現実を見せつけられて残念だったのだろう。しかし、人生で一度でも挫折を経験した人ならわかる。「現実は甘くない」ということを。3・11の地震のように。主人公は努力家で、才能にも恵まれ夢を追い続ける。幾度となる挫折を経験するが、それでもめげずに、愛する人と夢を実現する。しかし、その結果が、愛する人を失い、戦争の道具を作ったという現実だ。それでも、「生きねば」ならない。生きていれば、もっと大きな「夢」を実現することができるからだと伝えたいのかもしれない。それが「人生」と。
主人公の行ったことは無駄だったのだろうか。人生の大半をかけて達成したことが、結果的に「戦争の道具をつくること」と「愛する人との時間を少なくしたこと」につながるからだ。
たぬきちは、そうとは思わない。
なぜなら、彼は「夢を追いかけ」、「夢を実現した」のだから。
彼が夢を追いかけなかったら、そもそも愛する人と出会わなかっただろう。 愛する人も、本当の愛を知らずに、死んでしまったかもしれない。 というか、彼女は死ぬときは幸せだっただろう。 なぜなら、最も美しい姿で一緒にいられて、夢の実現を手助けでき、死ぬときまで、相手のために行動できたのだから。
彼が「夢を実現」していなかったら、戦争の結果はもっと良いものだったのだろうか? 彼の武器を持たずにいたら、日本は植民地化されていたかもしれない。 むしろ、より多くの人が犠牲になったかもしれない。 しかし、これは全く定かではない。 けれでも、「戦争の後に」彼の技術は人々に役立っただろう。 さらに、彼はその後も「生きて」、最大の挫折から立ち直り、より大きな夢を実現したかもしれないのだから。
真のジブリファンとは、ただジブリ的ファンタジーが面白く好きだというのではなく、ジブリ作品に描かれる、日本的価値観に由来する「自然の美しさ」や「人の美しさ」を感じ、それを『良い」と思っている人だと思う。
その意味において、今回の「風立ちぬ」という作品は、最も「ジブリらしい作品」といってもよく、真のジブリファンなら間違いなく「好感」を持てる作品だと思う。
しかし、これには「前提条件」がある。
それは、この作品の深い部分を感じることができるほど、「人生経験」を積んでいる人であり、
少しでも夢を追いかけ、挫折した経験のある人である。
むしろ、この作品をつまらないという人は、起伏のない平坦な、「つまらない人生」を歩んできた人なのかもしれない。
ってちょっと、言い過ぎました。
とにかく、「面白い」のでぜひご鑑賞あれ。
フィルムコミック 風立ちぬ(上) (アニメージュコミックス) (アニメージュコミックススペシャル フィルムコミック)posted with amazlet at 13.12.30
徳間書店 (2013-08-31)
風立ちぬ サウンドトラックposted with amazlet at 13.12.30久石譲
徳間ジャパンコミュニケーションズ (2013-07-17)
売り上げランキング: 2,196
ちなみにたぬきちの愛用映画館は「TOHOシネマズ六本木ヒルズ」。
スクリーンが大きく、席も座りやすく見やすくて、 なにより、ポップコーンと飲み物を置ける台があるのだ!!! (たぬきちはいつもペアセットで、キャラメルと塩バターのハーフを食べながら見ているから、この点は重要ポイント!)
あと、人も少なめだし、マナーもいいほうなので、映画を楽しみたい人にはおすすめしたい場所。
って昨日今日と、ブログの主旨とは関係のないことを書いてしまった・・・
まぁ、たまにはいいか
ほらあなより愛をこめて、たぬきち。