黒澤明監督映画「羅生門(Rashomon)」は英エンパイア誌が「史上最高のワールドシネマ100本(100 Best Films of World Cinema)」の22位に輝いている。
その感想・名言等をついに書きたい思う。(ネタバレあり)
史上最強ワールドシネマ100本ランキングはこちら http://www.empireonline.com/features/100-greatest-world-cinema-films/default.asp?film=22
黒澤明監督映画「羅生門」は
「人間の本質は善なる良心にある」
ということを真っ直ぐに伝えた映画であるといえる。
本映画「羅生門」を見て、わけわからない作品という人も多いだろう。 かつての日本もそうであった。 しかし、世界の目には黒澤明の本質が伝わったのである。 それが上記メッセージだ。
本作の原作は芥川龍之介の「藪の中」をもとに、 同じく「羅生門」の内容を融合させて作成されている。
人々はこれを
人間の良心の強さを実感させる理想の現実を逆転のハッピーエンドで描いた傑作
とたたえている。
したがって、本作品に出てくる名言は、 自分の目で見て、感じていただきたい。
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以下ネタバレとなるが、本作品「羅生門」の解釈を以下に述べる。
原作の「藪の中」では、3人とも死罪を求めて嘘をつき、矛盾する証言を並べたところで終わる。
夫の嘘は決闘の末に無様に負けて殺された という恥点を隠すために、嘘をついた。 その妻も同じ恥の心から決闘が行われた真実を証言しなかった。 さらに妻は山賊に強姦されながら自害しなかった恥に堪えかね、 自分が夫を殺したという話をでっち上げる。
そして、多襄丸の嘘も動機は同じ。
「頼むから俺の妻になると言ってくれ!こうして頭を下げて頼むから、俺に着いて来ると行ってくれ。お前が望むなら山賊を止めて汗水流してまじめに働くぞ」 とまで言ってしまった情けない山賊だったことを隠したかっただけ。
上記は「藪の中」的であるが、それに『羅生門』の内容を加え融合。 矛盾の無い4つ目のキコリ証言を考案し、「人間の良心の強さを実感させる」ことに成功している。
それは、女の短刀を盗んだキコリが、その罪の償いとして赤ん坊を引き取ると決意したことである。
それが黒澤流ハッピーエンドである。
ほらあなより愛をこめて たぬきち