「クロネコヤマトの宅急便」でおなじみのヤマト運輸。
たぬきちもよくお世話になっています。
その「宅急便」事業を生み出した経営者、小倉昌男(おぐらまさお)氏の書いた経営本がKindle月替りセールになっていたので迷わず買ったたぬきち。
その事業背景を全く知らずに読み始めましたが、経営者としての小倉昌男氏の優秀さに脱帽しました。
ヤマト運輸は戦前から事業を行っていたが最初はBtoBの商用貨物の運搬が主でした。
それを「宅急便」というBtoCの新しい「業態」を作り上げたのが小倉昌男(三代目?社長)氏です。
今風に言えば、運送業界にイノベーションを起こしたのです。
不可能と言われていたBtoCの「宅急便」という業態を、全国ネットワークの構築という莫大な投資を行う「攻めの経営」で確立した小倉氏の論理的思考力と実行力は素晴らしい。
これぞ経営と呼ぶにふさわしい決断です。
小倉昌男氏が優れていたのは以下の点ではなかろうか
①自分の頭で考える力(周りに流されず、常に本質を見いだすことにつながる)
②論理的思考力(不可能と呼ばれる原因を疑い、論理的観点から実現可能性を見いだした)
③先見性(宅急便の市場の大きさや、IT社会、ネット社会における可能性まで当時考えていた。もしまだ若ければAmazonになれたかもしれない)
④起業家精神(攻めの経営で、クール宅急便等様々なサービスを次々に構築しダントツのサービスを確立)
⑤実行力(行政に対して訴訟を起こし規制緩和させるなど、理想を実現するための実行力は素晴らしい)
⑥倫理観(倫理的に間違った経営をしていない。それが現在のヤマト運輸に対する信頼の高さにつながっていると思う)
個人的観点では、AmazonのCEOであるジェフ・ベゾスに近い感じがします。
莫大な投資を行ないネットワークを構築し、採算は数年後という点がなおさらそう感じさせる。
日本版ベゾスというよりはむしろ、ベゾスのほうを米国版小倉昌男と呼びたいほどです。
また、特に好感をもつのは「高い倫理観」です。
不格好経営のDeNA創業者である南場陽子氏とは異なり、高い倫理観を持っている。その点が尊敬でき信頼できます。
そして、それがヤマト運輸自体の「信頼というブランド」になっていると感じます。
ヤマト運輸の今後の展開について個人的な希望を述べますと、
AmazonみたいなEC事業に参入すれば、現在のネットワークを生かしてAmazonにも勝てるのではないかと考えます。
それは最も根本的なプラットフォームを握っている者が最も強いからです。
リアルの流通ネットワークを持っているヤマト運輸がバーチャルのECネットワークを構築すれば鬼に金棒。
ぜひ、そのような攻めの経営を今のヤマト運輸にもやってほしいと希望してみたい。