「一冊の力」を信じることーそれが原点回帰。
これは本書冒頭に出てくる言葉である。
本書は出版社を一人で起業した三島邦弘社長とミシマ社の話。 このような印象的な言葉が次々と表れる。
中でもたぬきちが印象に残った言葉を以下に上げていきたい。
一冊入魂
出版業界は起業率が極めて低い。そのため新陳代謝が落ちまくり、死へ向かう長い坂を滑っているだけ
プライドだけが高く、最後の最後で腹が決まっていない。 規模も知名度も下がる別の会社に移っただけで、「勝負」したつもりでいた。 つまりリスクをとったつもりでいた。 会議で建設的意見として具体案を出すようにした、だが、ほとんどがスルーされた。
「身をさらして発言したことが受け入れられないときはもう身を引くしか無い」 なぜなら身をさらして生きている人手あれば、どんな組織にいようが、必ず、言葉をもって生きているものだから。 言葉を持って生きているということは、その人自身、少なからず身をさらして生きてきた結果といえよう。 そういう人は、身をさらして若者が発した言葉を無下にすることはない。
ぼくがグズだったのは「通じない」とわかっているのに、それを他社のせいにしていたことだ。 通じないとわかっているなら、自分が動けばいいだけのことだ。 一度リスクをとったくらいで十分なリスクをとった気になっていた時点で、僕自身が批判している人たちと同じだった。 つまり、保身の人間にほかならなかった。
「保身から発する言葉が、人を動かすことは決してない」
「目の前で光り輝く道。この道をただ歩んでいけばいい。」
あのとき、知らずしらずにつくっていた自分を封じ込めている檻を、自身の手によって壊したのかもしれない。 そして檻の外に出て初めて気づいたことがある。それは、「決め事」という檻は自分を守るために作ったわけではないということだ。 誰に課せられたわけでもなく、自らがつくった檻の中に自らを閉じ込めて。
起業における精神状態が垣間見れて非常に面白い。 起業を考えている人はぜひ読んでいただきたい。 きっと「勇気」をもらえることだろう。
計画と無計画のあいだ---「自由が丘のほがらかな出版社」の話posted with amazlet at 13.12.15三島 邦弘
河出書房新社
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